アンコールモリンガの原産地であるラン・タ・エク エコビレッジは、アンコールワットから約20kmに位置する。アンコールワット遺跡群は1955年12月に世界遺産登録に指定されたが、遺跡だけではなく、森(自然)、村(住民)も含めた面として保護されている事が特徴である。遺跡を管理しているAPSARA機構は、農薬などの環境汚染や無秩序な開発を防ぐための緩衝地帯としてエコビレッジを設けた。また遺跡周辺の人口を増やさない目的で耕作地付の居住区を設置して遺跡周辺からの移住推進を図っている。自然遺産地帯から住民を移住させながら、生活基盤を確立させるために有機栽培農業を行っている。そのために大学の農学部を出た専門チームが中心となり有機土壌設計・植物忌避剤利用・栽培地に張りめぐらされたイリゲーション・システムの設置(乾季でも安定して栽培可能)・栽培物の選定・販路開拓などを行っている。収入を図るための栽培物の第一弾が「森のミルク」と言われているアンコールモリンガである。2017年12月からの一般社団法人国際医療・福祉支援機構とのアンコールモリンガ栽培契約の締結により、エコビレッジの農家が2018年1月時点で一挙に前年より30家族多い130家族に増えた。

モリンガとは、学名はMoringa oleifera Lamarckで、ワサビの木科に属する。
原産地は北インドとされ、熱帯、亜熱帯地域に生育する樹木である。古くは伝統医学であるアーユルベーダの文献にも登場しているといわれている。また、現在はインド、パキスタンのみならず、東南アジア、アフリカ大陸、南アメリカなどに広く分布していることが分かった。
モリンガは全世界に生育する植物の中で最も栄養成分が豊富であるとされることから、2007年国連の世界食糧計画(WFP)でも計画に上がっており、人類の健康維持、増進のために活用されるべく研究が進んでいる。モリンガ・オルフェイラは様々な国で、奇跡の木(ミラクルツリー)、マルンガイ(母親の友)、緑のミルク、生命の木(ツリーフォーライフ)、薬箱の木、など様々な名称で呼ばれているように、葉、花、果実、鞘、根すべてに豊富な栄養素が含まれており、特にミネラル、ビタミン、アミノ酸が豊富で最近の研究において、抗酸化作用、抗アレルギー作用、降圧作用、血糖低下作用などがあることが分かった。
約8年前、一般社団法人国際医療・福祉支援機構の岩﨑理事長は、孤児院の医療活動を要請されたことがきっかけでカンボジア王国と関わるようになり、その後今日まで医療活動を続けている。そんな折、マスコミで国連の世界食糧計画(WFP)に基づき、アフリカの飢餓に苦しむ子供たちのためモリンガの木を植える活動をしている団体の事を知り、モリンガに興味を持ち、ここカンボジアで探し当てたモリンガで機能性の高いサプリメントを作り、私のクリニックの患者さん達に使ってもらっている。また将来は補完食糧として世界の子供たちの食糧支援に役立てたいと行動に移した次第である。
現在、岩崎理事長はさらなる未利用植物の発見・開拓と、機能性・生物活性の高い植物の探索、研究開発に取り組んでいる。

APSARA National Authority

APSARA機構は、1995年、遺跡を管理するために国の機関として設立された。
シェムリアップ州の5つの区域を管轄する権限が与えられ、関係省庁と連携して管理活動を実施。APSARA機構は遺跡の保全修復だけでなく、地域の社会文化発展をめざした活動を展開している。
2006年に環境マネジメント規格・国際規格ISO14011を取得。同年にはアンコール遺跡の持続的な保存を目的としてラン・タ・エク エコビレッジをスタートさせた。
その他に、森林保全のための植樹活動、大気・水質汚染対策として汚染調査などを行なっている。

RUN TA-EK Eco-Village

アンコールワットから約20km、シェムリアップ国際空港から26km東方に位置する。アンコール遺跡の持続的な保存を目的としてスタートし、国の機関であるAPSARA機構が管理に当たっている。
持続可能な有機農業実現のために、周囲を深さ2mの空掘で取り囲み外部からの汚染水流入を防ぐなど1012haの面積を持つ閉鎖型ビレッジを形成。有機栽培農業の指導者ら10人の専門スタッフが常駐管理しており、第一弾のモリンガ栽培をはじめ、更に健康志向から急速にニーズが高まっているサチャインチ(乾燥の実、オイル)、マンゴー、パパイヤ栽培と拡大していく予定である。
有機農業以外には、エコビレッジの魅力を知ってもらうために自然との触れ合いを満喫できるエコツーリズムの施設もあり、風車で引いた水と太陽光電池を利用したホームステイ風の中庭付きの宿泊施設、有機農場、レストラン、研修施設などを完備している。
移住する住民に対して新築の住居と農地1haを無償で与える事で移住を促進しようとしたが、進んでいないのが実情である。現在のところ、800戸の移住戸数の目標に対して現在130戸(平均4人家族)しか実現できていない。生活するための農産物収入の道がまだ実現されていない為である。

農家の住宅

指導者と管理事務所

ラン・タ・エク エコビレッジ全景

農家の住宅とファームのマップ

一般社団法人国際医療・福祉支援機構の契約栽培地の管理表示

用水堀

外部からの水の流入を防ぐ空掘

大学の農学部出身の指導スタッフ

種から育苗

潅水システム

EM農法による肥料作り

EM農法による忌避剤作り

専門スタッフの指導風景

専門スタッフによる成長の確認

自分の畑の成長の確認

アンコールモリンガの畑

ハサミで丁寧に1本ずつ収穫

収穫したばかりの新鮮なアンコールモリンガ

収穫してすぐ分別室に届け、枝とさやを除外し、葉だけにします

アンコールモリンガの葉の専用出荷容器

運搬専用車で1時間以内に加工工場へ

アンコールモリンガの葉の洗浄(UV水使用)

洗浄の様子(1)

洗浄の様子(2)

アンコールモリンガの葉の水切り

2次分別室に届けます

2次分別(アンコールモリンガの葉だけを選び分けします)

葉の乾燥(収穫した日に乾燥させます)

チップは真空パックして日本に送り、殺菌、粉末加工します